絶叫する女

「――そう言えば、絶叫する女の話って知ってる？」

晩秋を迎えた、ある日の夕方。

学校が終わり家に帰る電車の中で、突然友達がそんなことを訊いてきた。

ぼんやりと夕日の沈みかけた田んぼの風景を眺めていたあたしは、キョトンとなりながら横へ座る友達へ顔を向け、

「知らないけど。何、それ？」

と小首を傾げながら言葉を返す。

「この間、たまたまネットのサイトで見つけたの。あんまり人気がない心霊サイトみたいなんだけどさ、どこか地方の山奥にいるんだって、その絶叫する女が」

「ん？ うん……」

あたしが話に食いついたことに気分を良くしたのか、友達は嬉しそうに口元をニヤつかせ、会話を続けてきた。

「その場所がどこなのか、正確な位置は書いてなかったんだけど。どこかの山奥にある廃墟で、ある儀式をすると現れるんだって」

「儀式？ その女の人って、幽霊なの？」

怖い話でよくある、コックリさんや一人かくれんぼを連想しながら、あたしはそう問いを投げかけた。