絶叫する女

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「それ……猟奇殺人とかいうやつじゃん」 聞かされた内容を脳内でリアルに想像し、あたしは無意識に顔を強張らさてしまう。 「まさにそれよ。で、その女の人の手足と目玉が未だに行方不明のままなんだってさ。儀式に来た人たちを犯人と勘違いするのか、それとも自分の死を遊びに利用されるのが気に入らないのかは知らないけど、その女の人の霊が、今も成仏できず廃墟を彷徨ってるんだろうね、きっと」 言って、友達はあたしから正面へ視線をスライドさせ、遠くを見るみたいに目を細めた。 「……その女の人、どうして絶叫しながら追いかけてくるか、わかる?」 「ううん、わからない。怒ってるからとか?」 「……犬みたいな四つん這いになって追いかけてくるって言ったでしょう? つまりそれって、切断された膝と手首の断面で地面を叩きながら追ってきてるってことだから、その痛みで絶叫してるんだって」
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