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そこまで一気に話して、友達はまたあたしへ視線を向けてくる。
「どうせ嘘だよ、そんな話」
そんな友達に苦笑を返し、あたしは小さく肩を竦めた。
「わかんないよ? 噂になるってことは、何かきっかけがあるわけだし。その廃墟だって、案外身近にあったりしてね。わたしたちが気づかないだけでさ」
「……」
「ほら、よく言われてるじゃん。毎年全国で行方不明者が発生してるとか。案外、そういう人たちってこういう不思議なものに巻き込まれて消されたりしてるんじゃないかな。…………ねぇ。万が一、その女の人がいたとしてさ。追いつかれたら、どうなるんだろうね?」
絶叫する女の人が追いかけてくる場面を想像し、胸に不快感が込み上げる。
本当にそんなおぞましい存在が、この世にいるのものなのだろうか。
「まぁ、あくまでネットの噂。信じる信じないは自由だけどね」
最後にそう言って、友達は少しだけ怖がっているあたしの胸中を読んでいるかのようにニヤリと不気味な笑みを浮かべてみせた。
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