ワナな一日

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 出迎えてくれたロングヘアーの若い女性は、あまり映像作品などは見ない主義のりさだが、それでも、ここに来る前には簡単な情報は得てきた。  受付兼務の彼女はここの経理、総務を一手に担っている事務員の水川ひなこだ。彼女は元AV女優という肩書を持っているが、その話は大学時代の話で、そこで得た給料はその後の留学費用に充てたという噂。  海外留学をしてまで得た知識は今の彼女に役立っているのかどうなのかはまでは事前情報には 入っていない。しかし、今の彼女の働きぶりを見ていれば役に立っていると思える。  ひなこの案内で応接室に入ると、左手側に置かれているソファを勧められた。りさは軽く頭をたれて遠慮がちにソファに座る。目の前にもソファが置かれている。その向こうには太陽の光が差し込んでいる窓がある。日の光からして、自分は東に向いているのだとわかる。 『という事は・・・、この事務所は東向きの窓だけ・・・。外に出る窓や扉が無いな・・・』と室内をキョロキョロと見回していると、北側の簡易型の壁の向こうから空気の流れを感じた。それだけで、隠し通路があると分かった。  暫くすると、30代半ばと見える男の人が応接室に入って来た。     
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