ワナな一日

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ワナな一日

 彼女は一人エレベーターを降り、まっすぐ廊下を歩いた。その先、左にその事務所のドアがある。壁にはインターホンが備え付けられている。彼女は目の前の扉を見つめてから、何かを探すかのように周囲をキョロキョロと見回してからインターホンのボタンを押した。スピーカーの向こうから『はい?どちら様ですか?』と声が届く。  彼女は「先ほど、お電話をしました三吉といいます」と答えると、「どうぞ、中にお入りください」との返答が返された。彼女は静かに扉のノブに手を持って行くと、ゆっくりとノブを回した。すると、最初に感じたのはアロマの香りだ。それも、ラベンダーである。ラベンダーは気持ちを落ち着かせる効果があると聞く。 『なるほど・・・。依頼者の気持ちを落ち着かせる効果を期待しているのか』と彼女は思った。 「おはようございます」と受付の女性だろうか。ロングヘアーのスタイルの良い女性が出迎えてくれた。 「先ほどお電話しました三吉りさですが・・・」と三吉は名乗ると、出迎えてくれた彼女は、「お待ちしていました」と丁寧な口調と軽く頭を下げて挨拶をすると、「こちらへどうぞ」と応接室へと案内をしてくれた。     
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