第三話 親に紹介したい系

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 αとの上昇婚狙いまるだしの、野心のある男や女に言い寄られるのに疲れ果てていた。結婚する相手は鳥飼がαだろうがなかろうが関係ない、と思っているような相手がよかった。  マッチングサービスはこちらの希望をいっさい考慮せず、ビッグデータの解析によって相性のみで相手を抽出する。 「偶然」にかけたのだった。  鳥飼とイオ、流助はお互いがどんな見た目でどんな第二の性だなんて知らずに出会った。その事は、鳥飼にとってとても大事なことだった。  しかし流助といるとそんな自分のこだわりも小さく感じられ、狭い部屋を風が吹き抜けるような爽快な気分にさせられる。鳥飼の頭の中を風通しよくさせる。  イオが美しいのも、そのイオと結婚することができたのも、すばらしいことだ。だからそれをただ、素直に受け取ればいいと流助は態度で示すのだ。  だって金額じゃない。  イオのプレゼントも大半を鳥飼が支払い、流助は流助のできるだけを支払った。だからといって流助は卑屈になったりしない。 「ありがとう。鳥飼さんのおかげでイオにかっこいい時計をプレゼントできるね」  嬉しそうにそう言っただけだった。鳥飼はその態度にどれだけほっとしたかわからない。流助と結婚できて、三人で結婚できて本当によかった。     そんな流助への誕生日プレセントは、本人のたっての希望で、高級和牛のブロック肉、スパイスセットだった。流助は小躍りして数日間大事に天然塩とスパイスで肉をかわいがり、じっくり熟成させると買ったばかりのオーブンで焼いた。  同時に鳥飼とイオは、流助が仕事中でも使えるようにと、タイマーのついた完全防水のダイバーズウォッチをプレゼントした。
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