第四話 そうなったのには理由がある

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 イオが見ている前で、αとΩはつながった。  流助のそこは、前戯など求めておらず、ただ早くそうされたがっていて、めくれている。イオがいることも場所のことも何も頭になかった。鳥飼も同様で、己の欲望を流助のΩにぶつけることしか考えられなかった。事務的ともいえる動きで、突き上げ続ける。  頭の片隅で、これが流助の初めてで、ここは公衆便所なのだという事実がよぎるが、Ωのフェロモンを前にするとそんなことはどうでもよかった。ただ、熱を、ただ熱を解放したい。流助と自分がかかえる問題を今すぐ解決しなければならない。 「あっ、あ……、は、……ああ……か、は」  性器に鳥飼の熱い塊を受け、かすれた声をあげて、流助はのけぞった。その身体を楔がはずれないためだけに支える。  初めてなのに、知っていて、わかっていて、待っていた。流助の身体は鳥飼にそう言っているようだった。  鳥飼の腕に身体を持ち上げられながら、ペニスをうちつけられ、しばらく獣のように交わる。  鳥飼は無我夢中で流助の中を味わっていたため、誰かに背中を殴られ続けていることになかなか気づかなかった。 「と、とりがいさん……ひ、ひに、ん、避妊っ……」  イオが泣きながら鳥飼の背中を殴っていた。  あわてて抜くと、自分の精がトイレの床に勢いよくはじけ飛ぶ。流助は自分の身体が急に空洞になってしまったことに混乱して泣いた。 「や……やだっつ、」  固まって棒立ちになっているイオに、すがりつく。髪を振り乱し壁際に追いつめる。 「……すぐ、すぐ欲しい、すぐふさいで……死んじゃいそうにつら、い……っ……」 「え、……」 「イオ、イオ、イオの、食べさせておねがい……何でもするからっ」  よろけて尻もちをついたイオの下肢にむしゃぶりつく。かたちのよいペニスを一息にねぶると、流助は数回己のΩにイオの性器をすりつけた。イオの半ば柔らかかったものが、みるみるうちに固くなった。流助は気持ちがはやっているようで、何度か挿入に失敗する。体重をかけ手で支え、やっと奥に迎え入れると安堵の吐息をもらす。
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