バースディ、プレゼント。

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 二十八歳のバースディパーティを友達たちと盛大に終えた真美は、星空を見上げながら一人ゆっくりと家路につく。自分のバースディパーティだったのに三次会の誘いを断ってしまったのは、祭の終わりが見えてしまうのが少し寂しかったからかもしれない。  途中、真美はお気に入りのコンビニに寄った。真美のお気に入りのコンビニは大手チェーン店のコンビニなのだが、お店のオーナーが農業もやっているそうで数は少ないが新鮮な野菜が並んでいた。しかも、気のいいオーナーは常連の真美の為に取り置きやおまけまでしてくれる。真美は自分の為に飛び切り新鮮なサラダ菜を一束買うと、再び星空を見上げながら一人暮らしのマンションに戻るのだった。    帰宅すると、真美は早速買ったばかりのサラダ菜を冷蔵庫にしまうべくビニール袋から取り出した。しかし、サラダ菜が袋から出てくるよりも早く、一匹のアマガエルがビニール袋の中から飛び出してきた。 「ひゃぁ!ってなに!?……すごい、今時こういうのいるんだ。っていうか、あのコンビニの野菜、無農薬って書いてあったけど、本当なんだね」  キッチンの片隅で元気に喉を鳴らしているアマガエルを見ながら、真美は思わず感嘆の息をもらす。しばし、蛙を観察していた真美だったが、流石に家で蛙を飼うことはできない。……というか、飼い方が分からない。真美はなんとかアマガエルをティッシュペーパーにくるむと、マンションの近くの空き地に放ってやった。 近くには件のコンビニオーナーの畑もあるので、きっと元気に生きていけることだろう。そんなことを考えると、先ほどまで寂しさでもやがかかっていた真美の心は晴れ、口の端がゆるく上がる。胸に何か温かなもの抱いたまま、真美は再度家路につくのだった。  それから、一週間後。  真美は休日のブランチを作るべく、材料を買いに件のコンビニへと足を運んだ。またもや例の新鮮なサラダ菜をゲットし(ただし今回は蛙がいないことを入念にチェックした)、他にいくつかデザートを見繕う。会計をすませて店を出たところで、真美は背後から肩を叩かれた。驚いて真美が振り返ると、そこには一人の男性が立っており、まん丸くなった真美の目を見つめながら、にこやかに口を開いた。 「先日助けていただいた、アマガエルです」
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