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〝僕は大人になったらヒーローになるんだ!!〟
その少年はジャングルジムの一番上でそう言った
あの頃の無邪気な俺はどこに行ったんだろうか...
久しぶりに少年時代に遊んでいた公園に来たが人の影すら見えなかった。
「俺らの時代はみんな真っ黒に日焼けするまで遊んだのになぁ...」
今はゲームゲームゲーム...
インドアな子供たちが増えたらしい。
そう言えばあの頃のジャングルジムがない
最近は少しでも子供が怪我をしたらクレームをいう親がいるらしくすぐに撤去される。
「世の中も変わったなぁ」
溜息をつきながらペンキの剥げかけたベンチに座った。
雨に打たれてギシギシとなる。
遊ぶ子供たちも減ってからというものの管理は昔ほどやらなくなったんだろう、雑草が伸び放題だ。
「あの頃はよかったなぁ...」元々ジャングルジムのあった方を見ながら呟いた。
昨日、リストラを宣告された。妻とは既に離婚しており娘も妻と一緒に出ていった。
もう何もかも失くした俺はただ公園で何も考えることも出来ずに座っていた。
『ねぇ、そこのおじさん!』
喋りかけてきたのは、4歳か5歳くらいの男の子だった。
「どうしたの?お母さんは?」
周りを見渡してもそれらしい人はいない
『おじさん、リストラされたの?』
ギクッとした
最近の子供はいろんなことを知っているな
どんな教育してるんだ
「ち、違うよ?休憩してたんだ!」
『うそだね、僕わかるもん』
子供に分かってたまるかよ。
『ねぇ、おじさん
ヒーローやらない?』
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