玉の緒

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玉の緒

昨日も一人亡くなりました。 葬儀やさんのお手伝いで、ベッドから ストレッチャーに移す時、いつも足を抱えて移動しています。 手にヒンヤリと氷の 感触がします。 人は血が通わなくなるとこんなに冷たくなる ものなんだ。 あなたもなんですね。 いまだに冷たい肌触りが残っています。 生きる為のプランを 何度も何度も作りました。 それを閉じる時です。 ある看護婦から 今月私がリーダーの時に 5人も看取った。 悪い霊でもついて いるのか、見て欲しい と相談されました。 それはね、 最後は貴方にと 選ばれたのですよ。 きっとお礼の いいことがあります。 お礼はいらないけど 悪い事でないなら 安心したと帰って いきました。 私は小学生の頃から、 遺体を見つけて来ました。 皆が信じられない位。 川を流れてくるおじいさんを竿で引っ掻けて 2度も通報した。 海で泳いでいたら、 めんたまも鼻も口も 魚に食べられていた おじいさんにぶつかったり。 裏山で首を吊っていた 男性を見つけたり。 海岸で夜釣りしていたら 伊豆で遭難した釣り人が流れて来たり。 ビルから飛び降り、 じさつした若い女性が目の前で血の海になっていたので、コートをかけた事。 舞い落ちる姿は いまだに忘れられない 悲しみです。 あの世であったら 魂を救ってあげたい。 まだまだたくさんある。 今でも送る仕事をしているし。 何かの役目が あるのかも知れない。 平安時代の言葉に 好きな人と あの世でも結ばれる 為に紐を結ぶ事を 「玉の緒(お)」 といいます。 魂を結ぶ緒 があると信じていました。 身内以外に、 恋しい人以外に 玉の緒を もてる幸せに 感謝しています。 お礼は 旨い酒 お願い致します。 合掌
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