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ここには、いつも"常連"がいる。
地下の階段を降りて少し重たいドアを引っ張ると、カランと小さく鳴るベルの音と共に芳ばしい香りが顔を横切った。
「よう、いらっしゃい」
オレンジがかった照明が、細長くて通路の狭いカウンターのマスターを照らす。何故マスターをしているのかと思う程に見た目でも分かるくらい筋肉を蓄えた腕が、しなやかに動いてグラスを丁寧に拭っている。
「マスター、いつもの!」
「はいはーい」
カウンターの席に座るやいなや偉そうに注文をつけても、マスターは嫌な顔をせず笑顔で元気に返事を返してくれた。いつも頼む私の"いつもの"は、初めてこのバーでマスターに教えてもらった特別なカクテルだ。
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