秘密に触れないで

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秘密に触れないで

 三島(みしま)朝日(あさひ)には秘密がある。それを知っているのは俺だけだ。 「ンッ・・・」 「痛い?」  辛そうに眉を(ひそ)めて唇を噛む。 「・・・・・・大丈夫」  陶然と潤んだ瞳を開いて見つめる。俺のペニスの先端が朝日の中に入り込む。指とジェルで十分に解されたそこは温かく湿っていて、窄まりの襞は収縮し肉竿をのみ込むように受け入れる。  朝日が首を傾けると白い首筋に生えた青い血管が浮かび上がる。吸い寄せられるようにその管に舌を這わせると背中を仰け反らせる。浅い場所で出し入れをしながら、徐々に奥へと進む。肉壁はペニスに絡みついて蠢いている。  朝日の熱が上がると白い肌は赤みを帯びてしっとりと艶めく。触る場所全部が心地よい。脇から腰を愛撫しながら、深く穿つと喉の奥から喘ぎ声がこぼれる。  俺たちの実家の近所にはさほど大きくはない川が流れている。川岸に一番近いのが僕、次が朝日の家。子供時代、川原はまったく整備されておらず、草むらの中に道があってそれを分け入って川へ行った。  そんな雑草に覆われた俺たちの河川敷には終わりがあった。ぐるりと背の高い大きな木々が生い茂っていて、その先には別の世界がある。多分、普通に川と川原が続くのだろうけど、俺たちのスペースではなかった。しかし、その終わりに生えている木々の間を抜けて川へ近づくと、小さな青い水門を見つけることができる。おそらく川から用水路に水を流す為のものだと思う。  その水門は川岸のこちら側に近い場所にある離れ小島に架かっていて、橋のようにして渡ることができた。歩ける場所は狭く、柵はなく、今思えば少し危険だ。しかし、下から風が吹き抜けるその場所を渡るスリルは俺たちの冒険心を満たした。
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