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ワタシとグロックがやって来たのは1929年10月のアメリカだった。この年に世界大恐慌が勃発した。この恐慌が第2次世界大戦の元凶となる。
「第1次世界大戦が終わったばかりだって言うのに」
国民たちは嘆いていた。
1914年6月28日、ボスニアの州都サラエボでオーストリア陸軍の演習の視察に赴いていたオーストリア皇太子夫妻が19歳のセルビアの大学生に暗殺される『サラエボ事件』が発生した。
オーストリアとセルビアの関係が悪化し、大規模な戦争に発展した。
イギリス・フランス・ロシアVSドイツ・オーストリア・オスマン帝国
飛行機やトラック、毒ガスなど当時としては真新しい兵器が続々登場した。
「タイムマシンがぶっ壊れた」
グロックは激しく嘆いている。
「整備不良か?ゴウド製鋼になんか任せるんじゃなかったな?」
リニアモーターカーが大破する事故も起きている。
「はぁ、おせちが食べたい」
グロックがぼやく。
「猫島を殺したのってアンタでしょ?」
ワタシは山県のかつての部下だった。
刑事なんてツマラナイ商売だから辞めて派遣社員になった。金はそこそこ儲かるけどいつ死ぬか分からない。何でよりにもよってBANGSATになんか入ったかな?
「仕方ないだろ?3日殺さないと死んじゃうんだから」
「よかった記憶が戻って」
「けど?俺が犯人だってよく分かったな?」
「直感だけはいいんだ」
「早く戦争にならないかな?殺さないと死んじゃうよ」
「だけど何で猫島を殺したの?」
「足が悪いし?弱そうだったから。ケッ!正社員にしてくれてたら殺さなかったかもな?」
世界恐慌によって世界全体の工業生産力は44%も低下した。世界貿易は65%も下落した。
ソ連以外の経済が大きく後退した。
グロックの頭も後退した。
景気がよくなればまた生えてくるよね?
「クソッ!イングランド銀行め」
道端でハンチング帽の男が頭を抱えている。
イングランド銀行が金利を引き上げた、アメリカの賃金がイギリスへ流れたことが最大の要素だ。 さらに10月24日にゼネラルモーターズの株価が80セントに下落した。暗黒の木曜日と呼ばれている。ウォール街はパニック状態に陥った。
警官隊が右から左からやって来る。
グロックがハンチング帽に声をかけた。
「大丈夫ですか?」
ユックリと尻にピンク色のまち針を刺した。
ピンクは即死効果がある。
ハンチング帽はその日のうちに首を吊った。
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