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「陽菜、店番頼むな」
「うん。任せといて!」
お父さんが、店の軽ワゴンにあれこれ積んで、出張喫茶を行うために、近くの老人ホームへ向かっていった。
夏休み中は私が、喫茶店『ブレイク』ーー私たち父娘の二人で経営している、小さなお店の店番を任される事が多い。小さな店だからアルバイトは雇ったりできないので、学校が終わったら、店の手伝いをする毎日を過ごしてた。夏休みは学校が休みだから、朝から晩まで店の手伝いをしている。
私は、この店がとっても大好き!
小さな店だけど、お父さんとお母さんが一生懸命切り盛りしてきた上に、地元のみんなに愛されて、支えられていたから、何とか今までやって来れた。常連のお客様が多いから、顔なじみで、楽しくおしゃべりしたりして、私の生活の半分をここで過ごしている。
お母さんは病弱で、私が幼い頃に他界した。だからお父さんと二人だけど、でも、この店のおかげで淋しくなかった。近所のみんなにも、お母さん代わりって、沢山のおばさんやおじさんまでが、私の事を気にかけてくれてた。
扉を開けると珈琲の香りが広がって、煙草や食材等の匂いが混ざり合って、独特の匂いがする。この香りでさえ、私は大好きなの。
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