#1 雨

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「あ、雨かなり激しくなってきたんですね。髪やお洋服が濡れています。よかったら、このタオル使って下さい」  女の子は、今時珍しいおさげの髪をしていた。髪は綺麗な黒色で、今時の女の子というよりは、レトロな昭和な雰囲気がする子だ。多分染めたりしたことも無いのだろう。目はくりっとしていて可愛らしく、鼻筋は整っており、美人というより可愛という方が当てはまる容姿の女の子だった。ブレイクという店の名前が刺繍された、黄色のチェックのエプロンをしている。明るい雰囲気の彼女に良く似合っていた。僕とは大違いだ。  彼女は、僕にタオルを渡してくれた。白くて柔らかいタオルだった。 「ありがとうございます。助かります」  言われた通り、確かに酷く濡れていた。僕は受け取ったタオルで遠慮なく頭を拭いた。借りたタオルが、僕の水分で結構濡れてしまった。 「すみません、かなり濡れてしまいました。洗ってお返しします」  またこの店に来なくてはいけないのは面倒だが、このまま汚してしまったタオルを返す訳にはいかない。 「そんな、気にしないでください。店でタオル類は洗い物で沢山出ますから、こちらで洗いますよ」  真面目ですね、と笑われてしまった。結局、使用済のタオルを返すことになった。
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