#13 蜜

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 試験の当日となった。やれるだけの事はやったんだ。後は、自分の力で頑張るしか無い。  それにしても少し前、陽菜ちゃんが突然僕の家に来てくれたことは驚いた。わざわざ僕の為に、美味しいケーキやお茶を淹れて持ってきてくれたんだ! 凄く嬉しかったなぁ。  ああ、陽菜ちゃんみたいな彼女が居たら、バラ色の人生が送れるんだろうな。  そんな風に思いながら、ケーキやお茶を頂いた。お茶は、僕の好きになったロイヤルミルクティーだった。相変わらず美味しいお茶だ。また、飲みたいな。それにしても、あのスパイスには何が入っているんだろう。果たして、スパイスの正体・・・・正解できるのだろうか。やっぱり、陽菜ちゃんの問題は、試験問題より難しいと思うな。  陽菜ちゃんの事を考えていると、あっという間に試験会場に到着した。ピリピリとした雰囲気が緊張に変わる。僕も、緊張してきた――。  そうだ! 陽菜ちゃんがくれた、お守りがあったんだ。  そういえば、試験前に開けてみてくれって言われてたんだっけ。リラックスできるからって・・・・確かそう言ってたな。  試験会場には早めに到着したので、着席して、陽菜ちゃんのお守りを開けてみることにした。開けてみると、お守りの中には、更に小さな袋が入っている。これを開ければいいのかな、と思いながら小さな袋も開けてみた。袋には、匂い玉のようなものが入っている。  ふわり、と、嗅いだことのある匂いがした。  蜂蜜・・・・と・・・・薔薇の匂い・・・・?  知っているぞ、この匂い――これは・・・・ロイヤルミルクティーの、あの、スパイスの匂いだ。
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