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もっと、話をしてみたい。
もっと、彼女の事を知りたい。
今度はゆっくりミルクティーを飲んで、彼女と話をした。
名前を聞いた。瀬川陽菜(せがわひな)ちゃん、十八歳で僕と同じ年。驚いた。同じ年ということで、一気に親近感が沸いた。敬語も無くなって、親しみやすく友人みたいに話をした。
夢中になって話をした。
読書が好きで、僕が好きな作家の本を良く読んでいると聞いた。ミステリーが好き。それも、僕と同じだ。好きな作家の作品話で、かなり盛り上がった。学校以外の人で、こんなに話した事はなかった。逆に、僕の学生生活を知らない彼女だったから、沢山話ができたのかもしれない。
楽しいひとときだった。あっという間に時間が過ぎた。
不運な雨だと思っていたけど、僕にとっては素敵な出会いのきっかけとなった。
また来るね、と言って、店を出た。
雨はすっかり止んでいた。テストの点が最悪で落ち込んでいた気分が、驚く程に晴れていた。
人と話をすると、こんなにも楽しくて、気持ちが晴れるんだ。
僕は、初めて知った。
何時もドンくさくて、ダサくて、楽しく女の子とロクに話したこともなかったから。
陽菜ちゃんと話して、前向きな気持ちになった。
ありがとう。僕の沈んだ心を溶かして、軽くしてくれて。
また、明日から頑張ろうと思えたことが、本当に嬉しかった。
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