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小柄なぽっちゃりさんは安藤と安村。
二人ともピンクのチュニックと黒いレギンスで、ピンクのカチューシャまで被っていて、名前も似ているからどちらがどちらか混乱する。
巨漢は柔道をやっているとかでデブというより筋肉ウーマン。4人の中で1番可愛い子だったが、小玉より背が高く、好みではない。
小玉が座った席の前は中村。女の子にしては背が高いぽっちゃりさんだった。
「身長、おいくつですか?」
小玉は178。中村は164だった。
「もっと高いかと思いました」
二人とも顔が小さい分、実寸より高く見られることが多い…と共通点をいくつか見つけて、小玉は『こぶた』を出る時に連絡先を聞こうとした。
「ごめんなさい。遅刻で注目されようとする人って苦手なんです」
「そう…。じゃあ」
言い訳をする気も起きなかった。
もともとそう好みではない。軽く手を挙げてさよならをいうと中村はさっさと一人で帰っていった。
そんな短いやり取りの間に吉本は消えていて、京大出身だという眼鏡の古川もいなくなり、岡部は小柄なぽっちゃりさんのどちらかと楽しそうに話していた。
筋肉な巨漢が小玉を見て微笑んだが、彼女にもさよならを言って、小玉は一人、駅に向かって歩きだした。
小柄でぷにぷにした感じが好きなのだ。
安藤か安村に声をかけるべきだった。
歩いているうちに少し飲み過ぎたような気がして、自販機で水を買って、駅前公園のベンチに腰掛けた。
「何しに来たんだ…オレ」
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