序章━━ ヘリオス

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自分の両親を、 『父ちゃま』『母ちゃま』 と呼ぶクールは。 ごく身近な数人を、 『パパ』『ママ』 と呼んでいた。 血の繋がりはないヘリオスを、 『ヘル兄』と呼ぶように。 「ユース、またやってるのかい?」 どの『パパ』かは、すぐに分かった。 呆れのこもった声が耳に届く。 今日は珍しく、 任務が早く終わったらしい。 いつもの制服よりも、 ラフな姿で現れたのは、 フォルセティ騎士団長その人だった。 「面白い話をしようと思って、  早く帰ってきたら、これだ。  まったく、君という男は」 こちらも20代で通りそうな童顔だ。 ヘリオスの知る限り、 王都で一番爽やかな甘いマスクである。 絵に描いたような『騎士様』の姿には、 街中の女性がこぞって憧れるという。 噂では、 ファンの集いまであるらしい。
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