2:傲慢なダークヒーロー

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2:傲慢なダークヒーロー

まどろみの中で夢をみた。 これはいつのことだろう……。 歪んでいる世界にしばらく停止した思考を回転させながら考える。 霞んでいた頭がはっきりしてくる。 これは今朝の風景だ。 そう、今朝電車に乗っているときの風景である。 いつもの光景となんら変わらない。 満員電車に乗って会社に向かうため、ホームで到着を待つ。 降りていく人を凝視しながら少しでも早く乗り、ドアのエリアを避けつつ素早くつり革ゾーンに入る。 リュックいっぱいの荷物をしょってスマホの間合いを確保する。 これもなんら変わりないいつもの光景だ。 この時の私はこう考えていた。 もし今某魔法使いのように自分の周りだけでいいから他人と触れない隙間が空間がつくれたらなと。 まるで自分を包んでいるバルーンがあるような。 そのような力は現実にはない。 仮に超能力があってもこのような科学的な力はない。 だからこそ欲するのだ。 もしもこのような力が使えたら、実験台モルモットになるのを恐れずに私はガンガン使っていきたい。 隠しているなんて宝の持ち腐れである。 そうだ。 ホームで待っているときから使おう。 たまに後ろから押してきたり、くっついてくる人がいる。 正直耐え難い。ママは見える人。 そしてママは前世も見えた。 私の前世は、一国の姫だったそう。 だが、その時代に女性に人権などなく、同盟などの道具に過ぎない。 ただの犠牲者だ。 けどもしも今の私であれば、きっと時代を変えてしまうだろう。 それぐらい大胆な行動をしかねない。 だからそんな姫気質な私は、わがままで傲慢。 そのような輩には、容赦なく血祭にあげているだろう。 血も涙もない冷酷な姫として語られていたに違いない。 悪女として悪名が残ってしまうだけ。 これが2次元であれば天変地異も起こるかもしれない。 ダークヒーロー的に。
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