チャプター10(現代 土河勇⑥)

1/5
前へ
/95ページ
次へ

チャプター10(現代 土河勇⑥)

この度私の最も信頼する友人であり、名高い探偵でもある高山利彦氏に是非とも目を通して頂きたく、ご無理を承知でこの文書を送らせてもらった。 この手紙に昨日の事件に関して、私なりに全てを書かせてもらった。敵国に攻め込まれて身動きが取れない私にとって今出来るのはこのくらいのことしかないと思い立ったからだ。この差し迫った状況下で書いた文章はおそらく稚拙でどこまで理解してもらえるか分からないが、私の記憶していることは全て書いたつもりである。最後まで高山氏に読んで頂ければ幸いである。 まず、この城には陣内家の正室であったお静の隠し財産があり、その在処が記されている文書が存在する。その文書はお静が書いたものであり、国が非常時の場合のみ私用を許すと一部の家臣達は言われていた。お静が戦で亡くなってしまった後も家臣達はそのお告げを守り、隠し財産の在処を探すこともしなかった。     
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加