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「おーい、そこの2人。そろそろミーティング始めるぞ、早く来いよ。」
数メートル先の部室から森満彦役の島田と陣内雪名役の萌が顔を出し、僕と佐山に手招きをしている。今から劇の開始1時間前の最終ミーティングが控えている。
「行こうか、佐山。」
僕は佐山の背中を軽く叩いた。
「土河。」
「うん?」
「・・・俺がいてお前はどれくらい助かってる?」
不意に佐山がそう呟いたので、少し前を歩いていた僕は足を止めて佐山を見た。
「急に何だよ?」
「俺はどのくらいお前の力になってあげられたのかと聞いている。」
遠くから僕達を呼びかける萌の声が聞こえる。それでも佐山はそこから一歩も動こうとしなかった。
「すごく助かってるよ。今回の脚本も佐山の協力がなかったら書けなかっただろうし、役者としても必要な存在だよ。」
質問の意図は分からなかったが、素直な気持ちを正直に答えることにした。本当にそう思っている。
「・・・だったら俺の頼みを聞いてくれるか?たった1つだけだから。」
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