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8時過ぎにiPadを持って看護師が男性の部屋へやってきた。 部屋に入るとすぐに看護師は椅子に腰掛けiPadの画面を操作し始めた。 「先週は鶯生くんと回文対決をしていましたよね? じゃ、今日も続きのR18回文集で良いですか? R18と言っても最近は大人しいですけどね。 でも前回読んだ時よりも50作品も増えてますよ」 男性は少し考えるように腕組みをし、ボソボソと話した。 「すみません。実は回文ですが文字が見えないから短い文章しか理解出来なかったんで、辞めたんです。 それで今日から俺が得意の親父ギャグと言うか駄洒落対決になりましてね。 そうしたら、駄洒落に慣れてないあの子が悔しがってね、ははは」 自身の見えない事を話した時は小さかった声も鶯生の話に及ぶ頃には声音も弾んでいた。
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