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「山崎さん、今日は定食屋に行きましょう!」 今日もやっぱり定時のチャイムと同時にわらわらと人が集まってきて連れ出された。 勝手に注文された後に大きなぶりカマが3つ大皿に乗ってきた。みんなで取り分けるのかと思ったら一人分と言われてびびる。予想を裏切る豪快さと太っ腹だ。 ダメ押しで「まかないが余っておったがよ、サービス!」と店主がカウンター越しに腕を伸ばして豚の角煮を隙間にねじ込んできた。その躊躇のない優しさが染み入る。 旅人を放っておけない文化の温かみを噛みしめる独身男であった…、 などと独り言ごちたくなるような帰り道、周りを見ると予備校帰りなのか制服を着た高校生たちが手を繋いで歩いていた。 自然の営みに身を任せて何の疑いもなく互いの手を取り、談笑している。湿っぽいエロスを感じさせない高校生男女カップルの残酷さと尊さにくらくらする。 20数年前は、俺もこんな風だったのかな。 今の自分には降り積もった澱のような汚れを感じる。 まぁしかし、自分から汚れを取り去ったら随分つまらない人間になってしまだろう。
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