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駅前のビジネスホテルに荷物を置き、タクシーで工場に向う。
担当の有薗さんがゲートに迎えに来てくれた。
「山崎さん、今日はどうも、遠いとこからごくろうさんでした。ゆくさおじゃったもんした!」
「いえいえ…お世話になります。納入ぶりですね、皆さんお元気ですか?」
「あー、それがね、部長の今里が他部署に行きましてね、それがまた急に…」
うんうん、とうなずきながら、そういえばこの人は話が止まらないんだったと思い出す。
頃良いところで「早速ですが、明日のために機械を見せてもらってもいいですか?」と、ちょっと強引に切り上げた。
較正を終えて調整に入る。パラメータを弄っては機械を運転して、反応を見る。いい具合に合ってきたら、少しオーバー目に動かしてから少しずつ戻していい所を見つける。
ぴったりはまると本気で気持ちがいい。
同僚のセールス・エンジニアの中には「バシッと決まるとエクスタシーだよ!」と言ってるやつもいるが、それは多分カタルシスだよ、と囁いてやりたい。
ふと気づくと横に若いエンジニアが立って見ていた。
「すごいですね、手際が良くって惚れそうです」
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