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夢の内容は覚えてなかったけど、下半身の不快な感触で目が覚めた。 「… … …やっちまった…」 この年でうっかり夢精なんて、ありえない。 洗面台で下着を濯ぎながら呆然とする。空しい…しかも臭い。 まぁ確かに、昨晩の坂元さんのソフトタッチなマッサージは気持ちよかった。あんなふうに人に触れられたのは久しぶりだった。 寝落ち寸前に、自分の体を大切に扱われるってこんなに気持ちのいいものなんだって、思った。 ついでに、最近自分でするのもご無沙汰だったと思い出す。 人肌恋しい季節だ…、いやいやいや出張中だし。 ええいっ!と気合を入れてパンツを絞り、バスルームの中に干した。 今日は講習会の日だ。 ---- 現場に早目に着いて準備を始める。機械と材料を確認し、試し加工をしてみる。機械さえしっかり調整できていれば実演は簡単だ。あらかじめ作っておいたプログラムを走らせれば想定通りのものが出来てくる。 不確定要素の多い(俺の)人生とは違う。 休憩中に昨日の青年が話しかけてきた。今はまっているというバイクの写真や、ツーリングで行った山の紅葉の写真を見せてくれた。頭を寄せ合ってスマホの画面に見入る。 ツンツンとした髪が頬に当たってくすぐったい。 坂元くんと同じくらいの歳だろうか?若い人特有の伸びやかな匂いがする。 写真をスライドしていると、若い女の子が写っていた。 彼女?と聞くと、嫁です、と返された。別の写真には、その子が赤ちゃんを抱いて写っていた。 20代前半かと思ってたのにまじか!? 「お子さん?」 「1歳なんですけど、だっこするとあったかくって柔らかくって…。もー、肌もふわふわでいい匂いなんですよ…」 しっかりと筋肉のついた腕で赤ちゃんを抱く仕草をしながら、相好をくずす。きっとその重さや感触を思い出しているに違いない。くしゃ、っとした笑顔がやっぱりまぶしい。
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