避けられてる?

16/17
350人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「急に帰ってきて仕事はどうした」 「ちゃんと滞りなく終わりました。会長の所に行って挨拶してから自宅に戻ってきただけです」 「そうか。ご苦労だったな」 「あの、それだけですか?」 「は?なんだ、それだけって」 「組長は俺のパートナーですよね」 「それがどうした」 「お帰りのハグとかチューとかないんですか」 「あるわけねぇだろ、バカか」 「なんだよ。それくらいあってもいいじゃんか」 「誰に口をきいてる」 「俺のマイ・ハニーと話してます」 「お前、この状況でまだ言うか」 「ダメですか?俺はこんなにお預け喰らってすごく悶々としてるんですけど」 「・・・・恥ずかしいことをポンポン言いやがって・・・お前は外で発散してるだろうが」 「えっ?発散?」 「・・・いや、なんでもない」 「聞きたいことがあるんですけど」 「なんだ」 「俺、なんか嫌われるようなことしました?」 「は?何言って・・・」 「俺、避けられてるよね」 「・・・・・・・・・・・」 「俺を遠くの仕事に出したり、俺が帰ってくるときに組長は外に出たりして・・・そんなに俺に会うのが嫌?もしかして離婚も考えてるとか」 「何言ってる・・・・お前はそうしたいのか?」 「桂斗がそう思ってるか聞いてんだよ!」 「ここで名前で呼ぶな!」 「ちゃんと答えてくれないから・・・・ 俺いろいろ考えちゃって」 「お前がしたいならいいぞ」 「は?」 「その代わり極道から足を洗え」 「桂斗はそこまで考えてるの?」 「名前で呼ぶなと言ってる」 「俺は貴方の気持ちが知りたいんだ!」 「お前が別れたいなら別れてやる」 「俺の気持ちじゃなくて・・・・」 するとドアの向こうから七生の声がした。 「若っ!」 「・・・・・・・七生が呼んでいる。もう次の仕事に行け」 「・・・・・・俺は桂斗の気持ちが知りたいんだ」 弟に背を向けた躰を引き寄せて胸ぐらを掴んで引き寄せた。無理やり・・・・そう・・・・またやってしまった。無理やり唇を奪った。 理玖を拒絶するような態度を見せるのに、唇は甘く柔らかく理玖を迎え入れる。 どうして言葉や態度と裏腹にこんなに官能的なキスをするんだ。 躰の芯が熱くなるのを感じる。一気に沸点を超えるような高揚感に包まれる。 彼の手が優しく胸を押し返してきたので自然に体が離れた。 「七生が呼んでいる。行け」 「桂斗・・・・・一度時間を作ってほしい。話がしたい」 「早くいけ」 理玖は兄の躰から離れて七生の所に戻っていった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!