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彼が呼応するように腰を振りだした。自分から脚を大きく開いて、膝のクッションを使い、跳ねるように尻を打ち付けて俺を貪りだす。 「あっ、ぁつ……! ふっ、あっ、ああぁぁ……!」 髪を振り乱して激しく乱れる彼に、俺もより一層の激しさで応戦する。 愛し合うというよりも感情のぶつかり合いのような猛々しさで、発狂したように激突した。 全身が燃えているようだ。 毛穴という毛穴から火炎を噴出し、火の粉を撒き散らして、感情の火柱を上げる――この灼熱で、あなたの海を乾上らせたい。 激しい律動に酸素の供給が追いつかず頭が真っ白になっていく。無心で彼を穿ちながら、思考を離れ、感覚に自我を明け渡していく―― 轟々という雨音が、喘ぎ声と混ざって、鼓膜を打つ。 音の流れに身をまかせていると、やがて渦の真ん中に出た。 そこは、とても静かだった。
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