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「何度もここまでくる途中に出会っただろう? あのモンスターたちを従える者をモンスター使いって言うんだ」
「モンスターって……仲間になるの? そういや……別に魔族の仲間ってわけでもないんだっけか。どうやってあんなまともに会話もできない奴らを仲間にするんだ?」
「さあ……俺もどうやって仲間にしているのかはわからないが、実際に従えてる人間は何人もいるぞ? そいつらが言うには……心を通わせるとか、体内の魔力を操作して誘惑するとからしい。一応会話はできないが、言葉は理解しているらしいからな」
それって体内の魔力も心もまるでない俺には無理な話では? この際だからハッキリと伝えておくが、俺はかなり心ない人間だぜ?
「セイジ絶対無理じゃん」
「ちょ、今自分の中でもそう思ってたんだからわざわざ言葉にしないで。というかお前も無理だろ?」
「いやいや、俺はいけるかもしれないだろ?」
「じゃあ試してみろよ、丁度そこにエキセントリックバードがずっとこっちを見て直立不動してるからさ」
そう言いながら指さすと、気付いてたのは俺だけだったようで、ヒロシを含め、サトウチとレイチェルとセナもビクッと驚きながらそこに振り向く。
少し街道から離れた場所で、エキセントリックバードが急に襲いかかっては来ずに、ジーッとこちらを見て立っていた。
「レイチェル……戦闘態勢!」
「うん、わかった!」
すかさずレイチェルとセナの二人が武器を構えて対処しようとするが――……、
「……マテ」
低くてハスキーで、嫌なくらいダンディーな声が、エキセントリックバードから放たれた。
よく見ると、手の平をこちらに向けて動きを止めるように促してきている。
いや、そんなことより、こいつ喋れんのかよ。言葉理解できるだけじゃないの?
「ワタシニ敵意ハナイ……オチツクノダ」
「やだ……イケメン」
目を覚ませヒロシ! いくらダンディーな声を出して、頭部以外は人間でもモンスターだぞ?
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