第三章 汚い大人が成り上がる、この世界で

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 どうして突然いつものエキセントリックバードに戻ったのかわからず、最後尾を歩いていた俺とヒロシはあまりの恐怖に叫び声をあげて逃げ始める。  そして、やっぱりこうなったかといった顔で溜息を吐きながら、セナが駆け出してエキセントリックバードを一刀両断にした。 「い、いったい何が起きたんだってばよ」 「エキセントリックバードのオスは……最初はとっても紳士だけど、三歩歩くとメスと同じく発狂して襲いかかってくる。最初、変に紳士的だから、その段階で攻撃するのも気分が悪くて厄介な相手……」  セナの説明に俺とヒロシは顔を見合わせて頷きあう。恐らく考えていることは一緒だろう。  こいつ鳥頭かよ。  思えば、俺がこの世界に呼び出されたばっかりの時に囲んでいたエキセントリックバードたちも、最初はおとなしく、歩き出すとともに襲いかかってきていた。つまり、あれもオスだったのだろう。 「この世界……怖いわ」  結局、エキセントリックバードのせいでモンスターを仲間にすることに対して恐怖心を植え込まれた俺たちは、王都に向かう道中、モンスター仲間にするという選択がとれずに終わる。  兵士になるための方法をあれこれと考えるが、結局、良い案は一つも見つからないまま街道を進み、俺たちは王都に一番近い街、商業都市フローネルへと辿りついた。 「やっと……着いたか」  五日間ろくに休まずに歩き続けたせいか、疲労が限界に達し、街に到着するなり俺は身体をよろめかせる。さすがにヒロシも相当堪えているのか、ぐったりとした顔を見せていた。 「うん、やっぱりこの街は賑やかだね」  今にも死にそうなゾンビ顔の俺たちとは違い、まだまだ余裕のありそうな笑みを浮かべながらレイチェルが街門を通った先の広い通路内で背を伸ばした。よく見れば、セナもサトウチもミナでさえまだまだ余裕がありそうな様子だ。  何がおめでたいのかは知らないが、街のところどころに風船や飾りが取り付けられており、商業都市フローネルはどこかテーマパークみたいな雰囲気を醸し出していた。  なんでも、国中の名産品や、武器、鉱石、道具はもちろん、奴隷やなんと魂の宝具までも流通する商人の街らしい。
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