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ここに来る前までは、それだけ色んな物資が流通するなら、早めに潰したいと魔族も攻めてくるのではないかと心配したが、どうやら杞憂らしい。
街の中は、恐らくレイチェルたちと同じぐらい強いと思われる、引くほど筋肉隆々な人たちで溢れかえっていたからだ。絡まれたらおしっこちびりそう。
それだけじゃなく、街の周囲は高さ12メートルくらいの外壁で覆われていて、壁の上には見張りもいるし、弓兵もしっかり警備にあたっているため、魔族も手出ししにくいことこの上ないだろう。
まあ俺はこの街が滅んだとしてもどうでもいい。
せめて俺の滞在中だけ安全だったらそれでいいっていう。
「なあなあセイジ! 今から一緒に街を見て回らんかのう? 姉上がこの街だとお菓子も安く手に入ると言っておったのじゃ、この世界のお菓子に興味くらいあるじゃろ?」
すっかり疲れ切ってゾンビ顔の俺の服の裾をくいくいっと引っ張りながら、ミナがわけのわからないことを言いだした。俺の顔ちゃんと見て? どう見てももうHP残ってなさそうでしょ?
気配りできないの?
「いいじゃねえか……行ってこいよ、荷物なら俺がみといてやるからさ」
すると、ヒロシが爽やかな笑みをこぼしながら俺から荷物を奪い取る。
「俺とサトウチで宿を取って荷物を運んでおくからさ、セイジは気兼ねなく街を見て回れよ」
「え? いいの?」
「……助かる。この街は珍しい物が集まる……色々見たい」
ヒロシの優しい言葉に、レイチェルとセナは目を輝かせて感謝し始めるまずい流れに。
悪いが俺は騙されないぜ? ヒロシからプンプンと卑怯者の香りが漂っているからだ。
どう考えても元気いっぱいのこいつらの面倒を俺に押し付けて、一人で先に休むつもりな件。
「サトウチも……それでいいよな?」
「ん? あ、ああ……まあ、女に荷物を持たせるわけにはいかないからな、お金を渡しておくから、物資を買い集めてくれると助かる」
そう言いながら、サトウチは俺に二つある財布のうちの一つを俺に渡してきた。
その時、幼女を取られたつもりになったからかは知らないが、サトウチはめちゃくちゃ俺にメンチを切って、力強く手を握ってきた。何の心配をしているか知らないけどお前だけだからな? ミナとセナみたいな幼女に興味あるの。
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