道連れ

2/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「こんな話をしても、きっと信じてくれないと思いますけど」会社の後輩であるK氏はそう前置きしてから私にこう言った。「僕は道連れ屋なんです」 「信じるもなにも、意味が分からないんだけど・・・・・・」 「・・・・・・ですよね」  K氏は社内で浮いた存在だった。いつも体のどこかを怪我しており、その日もオデコに絆創膏を貼っていた。  極端に口数が少なく、ランチタイムはいつも一人ぼっちだ。私は見るに見かねて積極的に声を掛けるようにしていたが、それが裏目に出てしまった。  仕事帰りに飲みに誘われてしまったのだ。正直言うと迷惑だった。辛気臭い人間と飲む酒ほどマズイものはない。  結局私は断りきれずに居酒屋で飲むハメになったのだが、その時にK氏の口から飛び出した言葉が「道連れ屋」だった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!