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「先輩にとって目の上のたんこぶといえば、H部長ですよね」
「何だよ、急に」私はムッとしていた。
「先輩よりも年下なのに先に部長になりましたからね」
「アイツは世渡りが上手いだけなんだよ」
「じゃあH部長にお仕置きしましょうよ」
「お仕置きって・・・・・・」
「ちょっと待ってください」
K氏は人差し指で自分のこめかみを押し込むと、目を閉じながらH部長の名前をつぶやいた。顔と名前さえ分かれば呪いをロックオンできるのだという。
K氏は自分の右手薬指を左手で握りしめると、真後ろに「ポキン」と折り曲げた。私は短い悲鳴を上げながら顔を背けていた。
「平気ですよ。痛みには慣れているんで」K氏は笑いながら曲がった薬指を元の位置に戻したが、店を出る頃には赤くパンパンに腫れ上がっていた。
「狂ってるよ、お前・・・・・・」
「明日になったら分かりますよ」K氏はどこ吹く風だ。
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