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午後になると、部長と課長の二人が「安田さんにはこれから事務所で仕事してもらうから、暫くは残り二人の教育を頼むね」と言われ、その日だけだろうと思い、明るく返事をして済ませたが、それ以降安田という高卒の新人がフロアに戻ってくることは無かった。 なのに、暇になると周りが「安田さんすごいよね」等と噂をするので気になって、勤務表を見に行くふりをして事務所に入ると、決して広いとは言えない部屋のデスクに服を並べ、検品をしてからなにかの作業をしているのが目に入った。 「気になって見に来たのかね?」と部長に言われ、「あ、はい。私が担当しましたので……」と誤魔化していうと、「彼女しかできない仕事でね、悪いね忙しいのに一人借りちゃって」と部長に言われてしまえば、どんな仕事をさせているのかなど聞けるわけもなく部屋をあとにしようとして、話し声が聞こえてきた。 「いや、これは違いますね……こっちの……はい。型番はあってるので間違いないとおもいます」 「そうか。だったらこの部署に行って書類を……」と明らかに高卒がする仕事の話ではない会話を課長と普通にしている。
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