師弟対決。

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    草波司令の計画では、在ラバウルの艦艇の中から話の分かりそうな艦長が乗る艦艇を選び、標的の曳航だけを依頼する筈であった。 しかし、草波司令の来訪を知るや、その役はウチに寄越せと真っ先に名乗りを上げた艦艇がいたのである。 「御言葉ながら艦長。 どうせやるなら、丸腰の標的ではなく手荒く活きの良い艦を相手にした方が、御互いの練習になるではありませんか」 真っ先に名乗りを上げた艦艇の名を仮に1番艦としよう。 1番艦の艦長に先述の進言したのは特務中尉。 下は新三から上は艦長に至るまで、恐らくこの艦独自の役職名で呼ばれている。 やがてその進言に通信長と飛行隊長も賛同し、そこへ更に正規の大尉も加わったものだから、鱈居空の知らぬ間に件の水切り爆撃訓練… 否、水切り爆撃勝負はどんどん話が広がって行くのであった。 そして草波司令への返答が纏まった時には、標的役は現役の軍艦しかも複数という規模にまで膨れ上がっていたのである。
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