1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
『いのち』とは
『いのちとは何なのでしょうか。』
ある日、学校の先生にそう問われた。
保険の授業は正直眠い。欠伸を小さくしながら、こちらが聞きたいと思ってしまう。
「やっぱ、心臓。とか?」
前の席の友達、桜が呟く。
俺も「そうだろうな。」と賛成した。
いのちとは。
そんなことについて、深くは考えたことがない。
世界共通にあるもので、とても大切なものと言うことしかわからない。
それが分かればよかったのだろう。俺はその時
「スグなくなるもの、だろ。」
と言ってしまった。
違いない。昨日元気だった人が突然亡くなるのは、運命なのだ。
『確かにそうですね。いのちはすぐなくなってしまう。でも、長生きできるものでもありますよね。』
そんなことは微塵も思っていないであろう先生の薄っぺらい言葉。
その日の授業はいつもよりとてもつまらなく感じた。
ー次の日ー
俺は目が覚めると、白いベッドの上にいた。
あぁ、死ぬんだ。
そう錯覚した。そう感じた。
次の瞬間、意識がプツリと途切れた。
終
最初のコメントを投稿しよう!