10 二人の決意

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―広が挨拶をしてくれて数日後、私も広の家にお邪魔した。 夏木の敷地に入るのは9年ぶり。 9年前、泣きながら駆けた門構えを二人で潜る。 少し歩いて玄関の戸を広が開ける。 「じぃちゃん?満連れてきた!」 玄関を入って広が声を上げる。 でも、何も返って来ない。 「じぃちゃん?」 誰も出てこない。 「おかしいな。来るから家に居るようにって言っておいたのに…。とりあえず入って」 広は靴を脱いで玄関から上がり、私にスリッパを出してくれた。 「ありがとう」 「いいえ」 「お邪魔します!」 私も声を張って言って上がる。 広の後をついて奥へと進む。 色んな部屋を経由して客間に入っても誰も居なかった。 「工場かも」 広は呆れたように話した。 「工場?」 「暇さえあれば工場に居るから、多分―呼んでくる」 「私も一緒に!」 私の言葉に広は一瞬考えた。 「汚ない場所だから待ってて」 「汚れても大丈夫」 広は優しく微笑んだ。 「そんな綺麗な格好してくれてるのに、汚れたら勿体ない。大丈夫、嫁に着たらイヤでも入って貰わなきゃならない場所だから」 広の言葉に、私は少し照れながら頷いた。 広に客間の座布団に座って待ってるように言われて、広は工場におじいちゃんを探しに行ってくれた。
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