10 二人の決意

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プレハブの建物から年配の男性が1人出てきていた。 「ここは関係者以外立ち入り禁止だ」 そう言われて説明しなければと思う。 「あの…私―」 説明しようとすると、同じ建物から2人の年配の女性が出てきた。 「あれ、迷いこんだの?」 1人の年配の女性が私に問い掛ける。 「ちょっと待って、あなた昔―」 もう一人の女性が私を指差す。 「お前知ってるんか?」 「知ってるも何も、忘れたの?10年くらい前の―」 三人でコソコソ話して、こちらに向けられた目は歓迎されていないとすぐに察した。 「今さら何しに来たの?」 「アンタに罪はないが、アンタはここに来ていい立場じゃない。ここの家族が無茶苦茶になったのはアンタの母親のせいなんよ?」 「早く出ていきなさい」 口々に言われて、何も言えなくなってしまう。 現実を突き付けられている。 でも、逃げるわけにはいかない。 広との未来を取ったのだから。 意を決した時だった― 「寄って集って、若い子いじめるな」 そう後ろから声がした。 その聞き覚えのある声に振り返る。 そこに立っていたのは、広のおじいちゃんだった。 「社長」 おじいちゃんの姿を見て、3人は静かになった。 広のおじいちゃんは、9年前より少し老けてしまっていたけれど、その立ち姿や存在感はかわりなかった。
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