5637人が本棚に入れています
本棚に追加
ーホテルの駐車場まで、何も話さずに私は手をひかれたまま広と早足で歩いた。
私は少し息が上がるくらいだった。
勝手なこと言って、広はどう思っただろう。
「広」
「満」
二人で声が合わさる。
広が振り向いてくれて、二人で顔を見合わせて苦笑い。
「ありがとう」
広がそう言ってくれて、驚いた。
「満が話してくれて、良かった」
「勝手なこと言ってごめんね」
「いや…出口なくさ迷い続ける苦しさから解放された気分だ」
広がそう言ってくれた。
「あの二人だって、救われたはずだ」
広にそう言われて、私はゆっくり彼の側に寄り、静かに彼の胸に頭を埋める。
「ねぇ…ずっと一緒に居ようね」
小さな声でそう話すと、広は私の顔をグッと持って上げた。
ビックリして、目を見開いた。
最初のコメントを投稿しよう!