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「当たり前だろ!」
そう言われてギュッと頬っぺたが押し潰される。
広は私を見て笑う。
きっと餡パンが潰れたみたいな顔をしてる。
「ちょっと…離してよ!」
私が足掻くと、広はそのまま額にキスをした。
「何!?」
驚く。
頬っぺたから手が離されて、優しく広が笑った。
「愛しいよ」
広が冗談みたいに言って笑う。
「何?」
広の行動がよくわからなかったけれど、昔みたいに広の真っ直ぐな愛情表現だと認識した。
「車乗って、じぃちゃんとこ行こう」
「えっ?うん…」
助手席に乗り込んで、彼は運転席に乗り込む。
私がシートベルトをしたのを広は見届けてから、
「よし、出発」
とアクセルを踏んだ。
広がどこか晴れやかなのは理解できた。
それが何だか嬉しかった。
「婚姻届、じぃちゃんと満のお父さんに証人になって貰おうな」
未来が見えた気がした。
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