5638人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんな寒い中、写真撮影するのか?」
また無表情な父に戻って、私に問い掛ける。
「雪景色の中の写真を残したいって新郎新婦様も居るの」
私はお茶を飲みながら話した。
私はフリーでカメラマンを続けている。
宣伝も何もしてなくて、でも、小さな街でも冠婚葬祭はあるから、口コミでたまに依頼を貰う。
「雪の中滑って転けたらどうするんだ」
「大丈夫よ」
「お前は大丈夫でも、腹の中の子はわからんだろ!」
父が声を上げると、光が心配そうに見上げた。
それを見て、父はまた笑顔を作る。
二人目妊娠中の私がアクティブに仕事をすることを、父は良く思っていない。
と言うより、心配している。
現在7カ月。
まだ出来そうな気もするけれど、今日の仕事で暫く依頼は受けないつもりだ。
テーブルの上にあるお菓子を摘まみながら、父にそう話と眉間にシワを寄せながら父は納得したようだった。
「光、そろそろお家帰ろうか?大じぃじがデイサービスから帰って来る時間だから」
私がそう話と光は頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!