エピローグ

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「こんな寒い中、写真撮影するのか?」 また無表情な父に戻って、私に問い掛ける。 「雪景色の中の写真を残したいって新郎新婦様も居るの」 私はお茶を飲みながら話した。 私はフリーでカメラマンを続けている。 宣伝も何もしてなくて、でも、小さな街でも冠婚葬祭はあるから、口コミでたまに依頼を貰う。 「雪の中滑って転けたらどうするんだ」 「大丈夫よ」 「お前は大丈夫でも、腹の中の子はわからんだろ!」 父が声を上げると、光が心配そうに見上げた。 それを見て、父はまた笑顔を作る。 二人目妊娠中の私がアクティブに仕事をすることを、父は良く思っていない。 と言うより、心配している。 現在7カ月。 まだ出来そうな気もするけれど、今日の仕事で暫く依頼は受けないつもりだ。 テーブルの上にあるお菓子を摘まみながら、父にそう話と眉間にシワを寄せながら父は納得したようだった。 「光、そろそろお家帰ろうか?大じぃじがデイサービスから帰って来る時間だから」 私がそう話と光は頷いた。
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