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帰る支度も、父は率先して光に上着を着せたりマフラーや帽子まで被せてくれる。
「おじいちゃん、明日の光のお誕生日会来てね」
光がそう話すと満面の笑みで頷いた。
明日で4歳になる光を、父は想像を遥かに越えて溺愛している。
車まで光を抱いて、チャイルドシートにも乗せてくれる。
「仕事が無くても、大変だったらいつでも預かるから遠慮するな」
父が車に乗り込もうとした私に、そう話した。
「お父さんもたまには誰かと出掛けたりしないの?」
「誰と?」
「いい人居ないの?」
「光の世話で手一杯だ」
無愛想にそう言い切った。
一人で寂しくないのかと心配しても、大きなお世話だと言い退けられる。
車の窓越しに満面の笑みで光に手を振る父の姿に、まぁいいかと思う。
「明日17時くらいに来てね」
「おう。気を付けてな」
父とそう会話して車を出した。
帰り道、光と話ながら運転する。
父とのやり取りを教えてくれて、私には想像も出来ないやり取りが出てくる。
それを聞くのも楽しい。
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