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「満ちゃん、荷物受け取ってそこ置いてるから」
部屋におじいちゃんを送り届けて戻ってきた源さんが話してくれた。
「ありがとうございます」
私はもう一度送り状に目をやる。
「今年も北海道のサンタからか?」
源さんにそう聞かれて、私は頷いた。
光のお誕生日は、12月24日。
光をこの手に抱いたのは、間もなく4年前になる。
私の母と広のお父さんとは、交流はないものの、光が生まれたことだけは4年前に知らせた。
それから、光のお誕生日の前日に必ずプレゼントが届くようになった。
1年に1度だけのやり取り。
届いたプレゼントを手にした光の写真を撮影して送っている。
手紙とかそんなやり取りはない。
光は無邪気にプレゼントを喜び、北海道のサンタさんと認識している。
私はキッチンで加湿器の準備をして、おじいちゃんの部屋へ行く。
おじいちゃんは、一人用のソファーに座ってタブレットを見ていた。
「おじいちゃん、加湿器しますね」
声を掛けて部屋に入る。
「ありがとう」
掠れた声でお礼を言ってくれた。
タブレットから打ち上げ花火の音。
私が反応すると、おじいちゃんはタブレットを見せてくれた。
「今年の競技大会のやつだ」
広が出場した大会だ。
「まだまだ仕事が粗い」
おじいちゃんはそう評価した。
「広におじいちゃんの熟年の技を手解きしてください」
そう話すとおじいちゃんは笑った。
その拍子に咳き込む。
私は加湿器をセットして、すぐにおじいちゃんの背中を擦る。
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