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暫くして、おじいちゃんはありがとうと声を掛けてくれて落ち着いた。
「景子さんと清宮さんは明日来るのかな?」
「はい。光に自転車のプレゼントを持って来て下さるみたいです」
そう話すと、おじいちゃんは目を見開いて笑った。
「春川のお父さんは?」
「来ます」
「賑やかになるなぁ」
おじいちゃんは嬉しそうに口角を上げた。
「あれ?光知りませんか?」
私は部屋を見渡す。
光の姿がない。
おじいちゃんは私の腕を優しく叩いて、部屋からすぐの縁側に面した掃き出し窓を指差した。
窓ガラスから外を見ると、真っ白に積もった雪に小さな足跡が続いていた。
すぐに光の足跡だとわかる。
「工場だな」
「行かないように言ってるんですけど…」
私は呆れたように話す。
「広もよく工場を覗きに来てた」
おじいちゃんは、目を閉じてそう話した。
「夕食出来たらまた来ますね」
私はそう話して、おじいちゃんに膝掛けをかけた。
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