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「ダメよ、光。黙ってここに来ちゃ」
そう話ながら工場に入り、私は扉を閉めた。
「はぁい」
何とも不服そうに返事をする光。
「大丈夫か?身体冷やすぞ」
広が私を気遣ってくれる。
「大丈夫、ありがとう」
光を抱いて、土間にあるパイプ椅子に座った。
広の花火を作る姿を、キラキラした眼差しで見る我が子の姿に幸せを感じる。
「パパ、明日のお誕生日もまた花火してくれる?」
光のおねだりに広は優しく頷く。
「やったぁ!ママも楽しみでしょ?」
喜ぶ姿に私は頷く。
広と目が合う。
優しく微笑んでくれた。
幸せを感じる。
広と一緒にこの街で一生懸命生きている。
噂話、後ろ指、先入観…薄れてきたように思う。
でも、いつか、光やお腹の子の耳に入るかもしれない。
北海道のサンタの正体もいつかは話さなくてはいけない。
変に耳に入って傷付かないようにしてあげたいと思う。
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