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翌日、私は美織の実家で美織の家族と共に朝食を頂いた。
「二日酔いにはしじみ汁」
美織のお母さんのしじみ汁を頂く。
「満ちゃん、おかわりもあるから遠慮なく言ってね」
「ありがとう」
美織の実家に来ると、美織のお母さんはいつも世話をしてくれる。
美織とは小学校からの仲で、母が居なくなった私に美織のお母さんはいつも気配りしてくれていた。
当時、家には祖母が居たけれど、やっぱり美織のお母さんの方が色々相談出来た。
初潮の時も、美織のお母さんに色々教えて貰った。
祖母が用意するベージュや白の下着がイヤで、それも美織のお母さんが自分で買いに行けるようにとお店に連れて行ってくれた。
はじめて彼氏が出来た時も、自分を大切にするようにと話してくれた。
私が非行に走ったりしなかったのは、美織の存在はもちろん、美織のお母さんのおかげだったと思う。
「満ちゃん、このキュウリも食べて」
満のお父さんがキュウリのぬか漬けをすすめてくれる。
「お父さん、もういいから」
「お前も食えよ」
「毎日ぬか漬けばかりいらないよ」
「日に日に美味しくなるんだから」
美織と美織のお父さんはいつもこんな風に言い合う。
美織の実家は農家を営んでいる。
あたたかい家庭で、うちにはない温もりを感じる。
それが苦手な時もあったけれど、今は自分の実家より心地がいい。
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