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「はあ・・・」
「はあ・・・」
ここは、『不思議の湖』。
外界からは雲のバリヤーで閉ざされた、地上の異世界。
この『不思議の湖』の創造主であるハクチョウの女王様ことオオハクチョウのメグは、ハクチョウの王様ことフリードが見守る中、1羽のハクチョウの子との魔法対決が繰り広げられた。
魔法対決・・・それは、魔法使いに為るための試練。魔法伝授するが為の親子である絆を捨ててでも、真剣な闘いを受けなければならない、分厚い壁。
著しく湖面や野原に散らばった羽根や羽毛がその苛烈さを物語っていた。
「あ・・・あんた強くなったじゃん・・・!!
つい最近まで、ペタペタ歩くだけの『ハクチョウの子』だったのに、復元魔術から物質変換魔術までの、ハクチョウの女王様が日常に使う魔術を一通りこなせるまでになってるとはね・・・!!」
ハクチョウの女王様のメグは、傍らに居る息子の『魔法使いの弟子』ブルンガに言った。
「まだ試練は続くんですかぁ?」
「そうねえ・・・」
それから、お互い息を整うまで黙って、遠い空を見詰めていた。
「ところで・・・」
「はい?女王様?」
「魔術を所得して、いったい何をやりたいの?」
息子ハクチョウのブルンガは、女王様の言葉に目が座った。
「俺、『バードランド』をこの翼で造る。」
「えええ?この湖が『バードランド』じゃないの?」
「いいや、俺の考えている『バードランド』は、無念を抱いて死に行く野の鳥達を癒し、心地よく異世界へ飛び立たせるのが目的の『バードランド』だよ。
ママぁ、いや、女王様がついせんだって、獣の白いヒグマや4本角のシカが魔術修行に来たでしょ??
『バードランド』に獣が出没したって、女王様の召し使い達が大騒ぎしたあの大大大事件・・・
女王様、あの修行してきた獣達・・・今何してるのか知ってる?
人間に命を翻弄されている獣達を、女王様が授けた魔術で助け続ける傍ら、
とある山奥の過疎の町にある小学校の体育館を魔改造して、あの伝説の『動物達のbar』・・・霊感の強い人間の魔女がかつて、人間に駆除や殺処分、虐待を受けてまだ生きてたいという無念を抱いて死んだ獣達がこぞってやって来て、癒やしの為におもてなしをしてあげて極楽浄土へ旅立たせる施設を、閑散とした地方の商店街の一角で設立したんだ。」
「ふむふむ。それで?」
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