第2章 あおい

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第2章 あおい

25歳、実家暮らしで地元の会社に勤めてもう5年。同期も結婚して、2年前には合コンに連れて行ってくれていた先輩たちももい子持ち、さっぱり合コンの誘いもなくなり出会いなし。周りには理想が高いと言われるが、だってときめく人に会わないから悪いと思っている自分もいる。不安がないわけではないが今の生活が楽しいとも思っている。趣味はカフェめぐりで今日もお気に入りの地元のカフェひまわりでランチをしてきた。今度家でも家族にがりぽん炒めをしてみようと思いながら読みかけの本を鞄から取り出す。あれ?本が2冊。うん?え?表紙を開くと同じタイトル。「HERO」の文字。大好きな作家の新作だ。二つとも金剛駅の水島書店のブックカバーでただひとつ違うのはしおり。私はクローバーの押し葉なのしおりを挟んでいる。もうひとつは最近連載が終了した有名な忍者漫画のしおり。あ、カフェで拾ってもらったのは私の本じゃなかったんだとようやく気付く。その時はブックカバーと表紙だけ確認してしおりは確認しなかった。おんなじ本を読んでいる人なんているとは思いもしなかった。明日カフェに渡しに行こうと思いながらも誰の本なのか気になった。次の日の仕事帰りにカフェひまわりの扉を開ける。
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