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第五章 武道家
一通りの説明を大蔵大臣から受け、王様との雇用契約書にサインをしたのち、ダバインは武道家と城を後にした。
「武道家様、お疲れさまでした」
城の門番が武道家に言った。
「ご苦労」
武道家はそう応えた。
「見習い勇者様、おめでとうございます」
「あ、はい、ご苦労様です」
ダバインも門番に挨拶をした。
『ダバイン様』から『見習い勇者様』になってしまった。これは喜ぶべきことなのか?
それにしても、見習い勇者という言い方は格好悪い。
そんなことを思いながら、ダバインは武道家の後に付いて歩いていった。
「武道家さん、ちょっといいですか?」
しばらくダバインは無言で武道家の後について歩いていたが、長く続く沈黙の時間に耐えられなくなり、尋ねた。
「何か?」
「武道家さんは俺の親父と一緒に旅をしたことがあるの?」
「ある。武道家として初めて冒険に連れて行ってくれたのがそなたの父であった。色々なことを教わったし、一緒に武術の稽古もした。とても強いお方であった。そなたも父のように立派な勇者になるのだ」
「ふーん」
ダバインは気の無い返事をした。
父が立派過ぎるというのも考えものだ。
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