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第三章 試験
王様が目配せすると、王様の後ろに立っていた筋肉質の男が進み出た。
「この者は武道家だ。お前の相手になる。この者と打ち合い、一本でも打ち込むことができれば、勇者となる資質があると認める」
ダバインは剣の形に整えられた木を渡された。
「じゃあ行くぜ」
ダバインは構えた。
武道家は棒を片手に持っているが、両手ともだらりと下げたままでいる。
こいつ、やる気あるのか、とダバインは思った。
それともなめているのか。
ダバインは勢いよく打っていった。
だが、木の剣を振り下ろそうとした時に、目標物はそこになかった。止めることができずに、剣はむなしく空を切った。
すぐに体勢を立て直し、振り向きざま剣を横に振ったが、もう一度空を切るだけだった。
ダバインは構え直し、武道家を見た。
こうなったら打って打って打ちまくるしかない。体力には自信がある。疲れれば相手も動きが鈍るだろう。その時がチャンスだ。
ダバインはがむしゃらに打っていった。
武道家はスッ、スッとダバインの打ち込みをかわし、時には手にした棒でダバインの剣を打ち払った。
先に疲れ果てたのはダバインのほうだった。
ゼイゼイと息を切らしながら、ダバインは動きを止めた。
「そこまでだの」
王様が言った。
ダバインは怒りが込み上げてきた。そして悲しくなった。
「明日、今日と同じ時刻にここに来なさい。その時にお前が勇者になる資格があるかを伝えよう」
「駄目だったんじゃないですか?」
ダバインは王様に尋ねた。
「それはまだ分からぬ。武道家と相談して決める」
ダバインは木の剣を武道家に渡した。
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